世にも奇妙な小話【聞こえない耳に聞こえた音】

世にも奇妙な小話
スポンサーリンク

エリさんからの投稿

1年ほど前の話です。



その日はなぜか朝方突然目が覚め、胸騒ぎがしました。



ちなみに私は突発性難聴で片耳が全く聞こえません。



それなのに、朝7時くらいから聞こえない方の耳でずっと






「チリーン」






という鈴の音のような耳鳴りがしているのです。



滅多に聞かないので忘れていましたが、実はこの耳鳴り、私の祖父母や友人が亡くなった時にも聞いた耳鳴りの音でした。



あまり体調がすぐれなかったのですが、それには耳鳴りの他にもう一つ理由がありました。



実は前日、当時同じ会社内で付き合っていた彼と大喧嘩をしたのです。



その事もありどうも気が乗らず…会社に行きたくないから休もうかと思っていたのですが、身体に鞭を打ち無理矢理会社に行きました。



会社に行くと、どこにも彼の姿が見当たりません。



どうやら欠勤しているようでした。



喧嘩をしていた為あまりそのことについては深く考えず、私は仕事に集中しました。



仕事中も耳鳴りは止まず、何だか変だなぁと思いながら仕事をしていると、今度はどこからかお線香の匂いがしてきました。



しかしうちの会社はクリーンルームで窓もなく、周りの人たちはそんな匂いしないよと言います。



その匂いは1時間に1回…次は1時間以上経ってから一回…とだんだん間隔が広がっていきました。



不思議に思った私は






「まさか…彼に何かあったんじゃ…」






そう直感的に思い、お昼と3時の休憩で連絡をしてみました。



しかし携帯の電源は入っておらず、とてもイヤな予感がしました。



そして仲のいい同僚(男性)に



「ねえ、彼ってもしかして今日無断欠勤?」



と聞くと、実は朝から自分たちも連絡取れなくて、私が何か知らないかずっと聞きたかった。1人になるタイミング見はからってたら夕方になってしまったと言われ、2人で凄くイヤな予感がするねと話ました。



そして、仕事が終わったら本人が行きそうな場所に寄りながら、彼の家に行ってみようという事になりました。



その数分後…








聞こえない方の耳に、今度はなにか人の声のようなものが聞こえてきました。











「助けて…」











誰の声かは分からないけれど、そうはっきり聞こえました。



あっこれはまずい…



と思い、30分早く仕事を切り上げさせてもらい、すぐに彼の家に向かいました。



彼は一人暮らしでしたが、度々実家に帰っている時もありました。



ですがその時は



「今は絶対に実家にはいない!」



と変な確信があり、私は迷いなく彼が一人暮らしをしている方の家に向かいました。



私の家から彼の家まではいつも40分くらいかかるのですが、その日は帰宅ラッシュにもかかわらず道は空いていて、更に信号に1つもつかまらず15分くらいで到着しました。



「今まで1度もこんな事はなかったのに不思議だな…」



そう思いながらチャイムを何度も鳴らしますが応答はなく、鍵も閉まっています。



その時、私は玄関先の大きな梁にロープが垂れ下がっている事に気付きました。











「まさかこれで首を吊ろうとしたんじゃ…」











そしてよく耳を澄ますと、お風呂場からシャワーの音が聞こえてきました。



「いやだ…やめて…!」



嫌な予感はどんどん募りましたが、ドアに鍵がかかっている以上どうしようもなく、私はただうろたえるだけでした。


その時…











「ニャーン」











ふと横に目をやると、いつも彼氏と可愛がっていた野良猫がいました。



野良猫はどうやらずっとそこに座っていたようで、まるで私がここに来るのを待っていたようでした。



野良猫は私が気づいた事を確認すると、こっちへ来いと言わんばかりに窓の方へと歩き出しました。



窓を見ると、なんと鍵が開いていました。



私はすぐに窓から家の中へと入り、彼の姿を探し回ると、寝室でベットに横たわり冷たくなりかけてる彼を見つけました。



私は涙を流しながらすぐに彼を抱きしめると






「助かった…」






と、本人の口から言葉が出ました。



彼にはちゃんと意識があり、私は安堵しました。



同僚に泣きながら電話をして駆けつけてもらい、救急車を呼び救急隊員の人と話しているとこう言われました。






「あと30分発見が遅かったら亡くなってたかもしれません」






もしあの時私が30分早く仕事を切り上げてなかったら…。



そう思うとゾッとしました。



後日そんな話を本人にすると









「実は朝手首を切った後、1時間おきに1回暖かい四角い光が自分に差しこんできたんだ」









と言われました。



まさにその時間は私がお線香の匂いがした瞬間。



そして夕方に





「やっぱり生きたい、誰か助けて」





と強く思った瞬間があったと言いました。



私があの時聞いた声は、おそらく彼からの声だったのです。



彼が命を落とすようなことにならず、本当によかったなと安心しました。



しかし———











その後のお話なのですが、数日後彼は無事職場復帰を果たしたものの、あの日以来まるで人が変わったように冷たく感情のない人間になってしまいました。



結局彼の人格は元に戻らず、この事がきっかけで私は彼とお別れすることとなりました。









ちなみにあの野良猫ですが、何故かその日以来二度と私達の前に現れることはありませんでした。

コメント

  1. 匿名 より:

    すごい怖いけど感動

  2. より:

    なんで冷たくなってしまったか知りたい、。

  3. 匿名 より:

    不思議。鳥肌立った…
    彼どうしちゃったんでしょうね。

タイトルとURLをコピーしました