冬子さんからの投稿

私は子供の頃から少し霊感がありました。



といってもはっきり見えるわけではなくて、黒い影が見えるという感じです。



例えば、夜運転していると急に人の影が見えて、慌ててブレーキを踏んだ瞬間に影が消えたり。



アルバイト先では



「後ろに誰かいる!」



と思ってハッと振り返ると、誰もいなかったり・・・なんてこともしばしば。



ある時、バイト先でまたもや黒い影が見えたので慌てて振り返ると、そこには誰もおらず・・・。



ところがその瞬間先輩から



「え、今なんで振り向いたん?もしかして・・・お前も見えてんの?

今・・・後ろで子供走ってたよな・・・?」



と言われた事もありました。



他にも、職場近くの駅のエスカレーターを降りるところに、人の影が三角座りしているのが毎日見えていたりと、とにかく日常的に色んなところで人らしき黒い影の存在を感じていました。



しかし



「自分って怖がりなのかな?でも霊の存在なんて信じられないし…」



と、あまり深く考えないようにしていました。







話は変わってある日の事。



私の実家の近くのおばあちゃんちで起こった出来事です。



おばあちゃんは一人暮らしをしているのですが、その理由は、ずいぶん前におじいちゃんを病気で亡くしたためだと一度聞いたことがありました。



ちなみにおじいちゃんが亡くなったのは、私が生まれる前の事です。




そしておばあちゃんの住むその家ですが、一部が物置になっているところがあります。




私はおばあちゃんの家に行くといつもそこに通学用の自転車を置いてから家に入っていました。



ですが、そこもとても怖かったんです。



怖かったんですけど



「なんかいる?

あー…また影か。

でもまぁ、自転車置くだけやし…。」



と、一瞬のことなのでいつも出来るだけ気にしないようにしていました。




しかし大学生になった頃、私はふとこの事を母親に話してみました。



「実はさーこの物置、昔から怖いねんなー。ほら、前から私ってちょっと霊感みたいなんあるやろ?ここもなんか影見えるってゆうか。怖い(笑)」



と、冗談交じりで言いました。



すると母親は急に真顔になりました。



そして私にこう尋ねます。



「え・・・?どの辺が、とか・・・わかる?」



と言われたので、私は物置の隅っこを指差して



「ここかな。ここにいつもなんか居る気がするねん。」



と言いました。



すると、母親から思いもよらない事実を聞かされました。





「実はこの家、一度建て替えててな。

前の家やと、ここはちょうどお風呂場やってん。

あんたには今まで言ってなかったけどな、おじいちゃん・・・






お風呂場で自殺しはってん。」



と打ち明けられました。


私は



「え、そんなん知らんかった・・・。

っていうかおじいちゃん病気じゃなかったんや。

ってことは、今まで物置で感じてた影はおじいちゃんやったんか。

私が生まれる前からやから、20年以上もまだここにひとりで居たんやな・・・。

じゃあ・・・









つまり今までいっぱい見てた影も、やっぱりあれは全部霊やったってことか・・・」



と確信しました。



物置の影は、もやーっと黒くて大きくて、怨念?みたいな怖さを感じていました。



だから自殺だったと聞いた時、自分の中ですんなり納得がいきました。










影しか見えないし、会話も出来ないけど、私は物置の前で手を合わせました。





「今まで誰にも気付いてもらえず、ずっとここに1人で居たんやね。

寂しかったやんな。

ごめんね。」



と心の中で言いました。



もちろん、返事も何も聞こえません。



しかしその瞬間私の目から、スーッと勝手に涙がでました。



もしかしたらこれはおじいちゃんの涙なのかも・・・



そう思いました。







それから数年・・・私は結婚して赤ちゃんが生まれました。



子育てでバタバタしているうちに



「そういえば、あれから一回も影みてないなぁ・・・


私、霊感無くなってる・・・」



と気づきました。



普通に生活してても、実家に帰っておばあちゃんの家の物置に入っても、今は何も影を感じなくなっていしまいました。


もしかしたら、あの時おじいちゃんは成仏できたのかな?



あぁ、存在に気づいてあげれてよかった。



そして、子供の頃からあった私の霊感は、おじいちゃんを助けてあげる為にあったんだなと思いました。






霊とかそういうの、全然信じないようにしてたけど、そういえば自分にもこんな不思議な経験がありました(笑)




今や霊感があった頃の記憶もどんどん薄れてきてるので、記憶が消える前に・・・と、一度送ってみました。